3.17 時速20kmのモーターバイク

ベトナム7日目。
朝9時、ホテルの朝食を頂く。サラダ、たまご焼き、フランスパンにコーヒー。幸希はベトナムの甘いコーヒーが苦手なようで紅茶を頼んだ。
受付の女の子が相変わらず愛想が良い。安心します。
「ベッドが臭かったこと言う?」
ベッドの一部がとても臭くて昨夜寝苦しかったこと、この子に言うのはあまり気が進まなかったけど、言わないとこのホテルは同じ過ちを繰り返してしまうかもしれない、言わないことは逆に愛じゃない、思い切って伝えた。
「でぃすべっどわずばっどすめる。」
全然伝わってない。笑顔で「OK! I know! I know!」って言っとるし、おそらく僕らが臭くしてしまったと思われたのでジャスチャーと日本語で必死に説明。なんとか伝わり、すごく謝られた。そんなに謝らなくてええよ。
今日は思い切ってモーターバイクを借りてみた。
現地の方はもちろん、欧米の観光客の方がモーターバイクを借りて走り回っているのを当初からうらやましく思っていたのだ。日本では一度もオートバイに乗ったことがないけど、なんとかなるっしょ、幸希を後ろに乗せて二人乗りスタート!
のろのろ安全運転の僕たちは、みんなに追い越されながらなんとか町を出る。景色はすぐに田園風景へと変わった。沢山のアヒルが川で水浴びをしていたり、牛が草を食べ続けていたり、お母さんが洗濯物を干していたり。バイクを走らせ行動範囲が広がって、町歩きだけじゃ見えない景色がいくつも飛び込んできた。
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風を切るのが気持ち良くて、特に当てもなく走り続けた。青年二人がモーターバイクで南米を駆け巡る映画を観たことがある。まさにそんな感じだった。埋橋版モーターサイクルダイアリーズ。
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夕食のとき。旅が終盤ということもあり、日本に帰ったら何がしたいかという話題が1日に1回は出るようになってきた。「普通の暮らしがしたい。」と幸希。「音楽聴きたい。映画観たい。」と僕。
二人ともそろそろ日本に帰りたいようです。長旅を続けるにもある種の才能がいるのかもしれません。僕ら二人には2月26日から3月26日までの1ヶ月間でちょうど良かったんだと思います。
夕食をすませ、ホテルに戻り、予約していたダナン駅までのシャトルバスをロビーで待つことにした。バスの時間まであと2時間。
今夜、僕たちはダナン駅からハノイ駅へ向かう寝台列車に乗り込まなくてはいけなかった。可能であればそれまでにシャワーを浴びたい…
頭の中で英作文を始めた。「もうチェックアウトは済ませたんですが、もし空き部屋があればシャワーだけ浴びさせてもらえませんか。100,000ドン支払います!」
こういう時はIfを使うんだよなと思っていたその時。ホテルのお父さんから「どうぞこちらの部屋で休んでってください。今日は空いているんで。シャワーもどうぞ。無料で構いません。」という神懸かったお言葉。
「さんきゅうべりいまっち!!」
この言葉はほんとすぐに出る。シャワーを浴びることができ上機嫌。チップ的な意味合いを込めて50,000ドンだけ部屋にそっと置いて出た。
シャトルバスは約束の時間に到着した。「おーい、来たぞ!」とお父さん。「バイバイ!」と握手をし、僕らが見えなくなるまでお母さんと二人で見送ってくれた。
これから長野で宿をやっていく上で、どういうことが大切で、どういうことは大切じゃないか。身をもって毎日少しずつ学ばせて頂いておる次第です。
としのり